6月2日の記事

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            【深奥山(じんのうざん)】


方広寺の本堂正面に掲げてある山号です。
剣禅一如の達人・山岡鉄舟の雄渾な書です。

この山岡鉄舟のもとに知人が訪ねてきて、『臨済録』(臨済宗の祖、臨済禅師の語録))の講義をしてほしいと頼みました。

「それなら、鎌倉円覚寺の洪川和尚の講義を聞かれるがよろしかろう。」と鉄舟が言うと。

「洪川和尚の講義はお聞きしました。私は先生の講義をぜひ一度拝聴したいのです。」と懇願するので、

「それならばやりましょう」と、
鉄舟は彼を剣道場に連れて行き、弟子との剣術の一番を見せて、また部屋に戻って彼に言いました。

「わしの講義はどうですか。」
彼はあっけにとられて無言でした。

そんな彼に山岡鉄舟は続けてこう言いました。

「わしは剣術家であるから、剣道をもって臨済録の講義をしたのだ。それがわしの本分だ」と。

禅の真髄は、言葉や思考が出てくるまえの、原初の沈黙の場の充溢とその心源からの純粋生命の自ずからなる発露にあります。

その境地からすると「無相の相を相として」で、
語るも黙るも坐るも立つも踊るもなんでもよしですが、

リアルな現実社会にあっては、
鉄舟のように、自分の本分に成りきることが大切です。






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