不生の仏心

カテゴリー │仏教・禅思想

「あるがままを受け容れ、思うままに生きる」⑦


今回は、江戸時代初頭に活躍した禅僧・盤珪永琢(ばんけいようたく)禅師(1622-693)の「不生禅」を紹介しましょう。

盤珪さんは、「あるがままの地平」に立つ私たちの心を、

「不生の仏心」と呼び、

何の造作もくわえず「不生の仏心」のままであることが、「安心」であり救いなのだと説いています。

それでは、盤珪さん流の「いまここOK!」の説法を味わってみましょう。

私流の現代語訳で紹介します。

親が産み付けてくださったのは、仏心一つです。余分なものは一つもありません。その親が産みつけてくださった仏心は、生ずるということもない不生のありがたい霊妙なもので。不生で一切のことが調います。

さて不生で一切のことが調い「いいまここOK!」である証拠は、みなさんがこちらを向いて、私の言うことを聞いているうちに、後ろで鳴くカラスの声、雀の声、それぞれの声が聞こうと思う念を生ぜずにいるのに、カラスの声、雀の声が通じ分かれて、聞きちがわずに聞こえるのは、不生で聞くというものです。

そのように、一切のことが不生で調います。これが不生の証拠です。

その不生にして霊妙な仏心が究極のところとハラにおさめ決成(けつじょう)して、直ちに仏心のままでいる人は、今生より未来永劫の活仏(いきぼとけ)活如来(いきにょらい)です。

迷わなければ、活きた仏ですから、悟ることもいりません。仏となろうとするよりも、そのままの仏でいるのが造作がなく近道です。



盤珪禅師自らは、苦節14年の決死の修行の末に26歳で大悟されました。

その時の経験を、このような歌にしています。

   「古桶の底ぬけ果てて、三界に一円相の輪があらばこそ」

自我(エゴ)意識を打破し、深層の心の源に到ったところにおいて開かれた「あるがままの地平」を、「一円相の輪」と表現したわけです。

もちろん。その一円相の輪は、「不生の仏心」であり、盤珪さんは、なんとか自分のような苦労することなく、人々に真実に到ってほしいと願ったにちがいありません。


皆さん、やっぱり「いまここOK!]ですよ。


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この記事へのコメント
こっさま、おはようございます。

「迷わなければ、活きた仏ですから、悟ることもいりません」

ああ、なんという単純明快なことでしょう。ありがとうございます。

主婦は家族の在宅する土日の休日が一番忙しく、一人の時間がありません(それはそれで幸せです・・笑)
明日になったら、こっさまのアップしてくださったお話を、ゆっくりと味わってみたいと楽しみです。
Posted by ブルーエンジェル at 2011年10月23日 11:23
色々あって、生きる意味を考え始めたのが去年の初め。
こっさんや阿部さん、黒斎さんのブログや書籍、日々の森の散歩の中で得られたことは私の成長を促してくれました。

数日前こちら(ドイツ)に戻り、更なるショッキングな出来事があったのですが、ほぼ2年前の自分とは比較にならないほど落ち着いて受け止めることが出来ました。
自分の中に核ができたような、「全ては大丈夫なんだ」という安心感のような、そのような「感じ」があるからです。
受け入れる方が、断然ラクなんですね。
これは迷いがなくなった(或いは減った)ことなのでしょうか?

私(と子供達や義両親)を悲しみの底に落とした張本人でさえ、許してあげられる気持ちです。
返って哀れみさえ感じます。

全ての人に、安心感が訪れますように。
こっさん、いつもありがとうございます。
Posted by 雅蔵 at 2011年10月23日 18:02
お元気にご活躍のこと嬉しく思います。
偶然このブログにたどりつきました。
しかも、盤珪和尚のことが「書かれていましたので驚きました。
最近わたしが書いたブログです。 ↓
http://nishinomiya-style.com/blog/page.asp?idx=10001390&post_idx_sel=10039332
Posted by akaru at 2011年10月23日 20:50
akaruさま

本当にお久しぶりです。

HP「喫茶・輪」の写真、懐かしく拝見しました。

最近、中村君にお会いになりましたか?
Posted by こっさん(kossan)こっさん(kossan) at 2011年10月23日 21:22
お懐かしいです。
中村君、この前の台風12号の犠牲になりました。わたし、ショックを受けてます。その時のブログです。↓
http://akaru.mo-blog.jp/akarublog/2011/10/post_b3fc.html
Posted by akaru at 2011年10月23日 21:28
 仏縁ですね?!
  11月20日に、当に、私が賜った仏縁と、私が16歳の時以降、確認せざるを得なかった「今、此所、個々」について、「信行社」さんで、話させて戴く所存です。
 実は、向様のブログを拝見した最初に、そのことにご縁を感じました。
 「いまここ塾」とあったのに驚きました。 ご縁だ!と感動。
 6月に、ご縁にて出会いのきっかけを頂き、その後以来、ご縁に導かれて、再度、達磨大師の思想を読み返してみました。
 二入四行。 半僧房にご縁を賜って、振り返れば、私は知らず知らずのうちに、二入四行の人生だったことが解りました。本当に、仏縁の意味がわかったのです。  拝。
Posted by 一風 本田哲康 at 2011年10月24日 09:15
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