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柔軟心

世の中で最も柔らかいものが、

世の中で最も堅いものを突き動かす。

形のないものが、隙間のないところに入っていく。


                    ー老子四十三章



毎週水曜日朝の坐禅会で素読をしている「老子」の一節です。

白隠禅師も「無相の相を相として…、無念の念を念として…」と言うように、
これといって定まった形がなく、万物を育み動かす水や空気のような無相・無念の存在が最高の在りようだというわけです。

曹洞宗の開祖・道元禅師も中国で厳しい修行をして帰国し、

「修行をして特に得たものは何もない。
ただ柔軟心(にゅうなんしん)を得ただけだ」と言われたのは有名です。

つまり、何物にもとらわれない無我的人格が仏教のめざすところです。

形とは自分の価値観や考え方や先入観でしょう。
人生も50、60歳を過ぎると、それなりの体験があるので、どうしても固定化した見方や考え方になってしまい柔軟ではなくなってきます。
わずかな経験と知識だけで、世の中の事が分かったつもりになってしまうのです。

それは、過去を引きずって、日々新たな創造の地平に生きることの出来ない心の老化現象です。

若い人やあるがままの現実から学ぼうとする謙虚さや柔軟さ、
あるいは、今までの経験から自分を脱皮させてくれるような新しいことへの挑戦が、心の老化を防いでくれます。

人間は未知であり、世界も未知なるもの、諸行無常で刻々と変化し続けています。
来年百二歳になる方広寺派管長・大井際断老師は、
「まだまだ分からんこと、知らんことがある」と、今でも新刊を求めて学び続けておられます。

何でも分かっているとする知のおごりや先入観をすて、赤子のような柔軟心を養い、五感と心の眼・霊性を研ぎ澄まして、
今ここの気づき・直感をベースに生きるのが、今や欧米でも注目されているZEN(禅)です。

                  ー寺報「祥光」より


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この記事へのコメント
柔軟心、いい言葉ですね
いまここに飛び出そうw
今年もいろんなところで、まあネットを通してですが、学ばさせていただきました
ありがとうございます
来年も向老師のご活躍を、こころからお祈りいたします!
Posted by ダメマ at 2016年12月31日 05:03
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    コメント(1)