唯識⑨ー衆縁、衆力

カテゴリー │仏教・禅思想






















天竜川の上流の川面です。



接心中は坐禅三昧といっても、経行(きんひん)で1炷(線香1本約40分)を2、3炷坐っては、足腰をほぐし気合いを入れ直すため、禅堂のまわりの犬走りを歩いたり走ったりします。

ですから、延べ時間にすると、結構運動していることになりますし、坐禅の時も、全身全霊で腹式呼吸をしながら「ムー」と無字三昧になるのですから、新陳代謝は普段より盛んになります。

そんな訳で、接心中は大いに食べるのです。
夜は堂内で甘酒が出されたり、暖かいウドンやソバがふるまわれたりして、大食いの雲水などお椀に5、6杯はたいらげます。
充分にエネルギーを補給してこそ、禅定も修することが出来るというわけです。


それから接心中は日ごとに五感も研ぎ澄まされてきます。
目にするものすべてが鮮明になり、朝課や講座の出頭の合図の法鼓(ほっく)の音や、老師の提唱の声も腹に響くように聞こえてきます。
堂内では直日(堂内の指導者)がビシビシと警策を回しながら、

「古人の刻苦光明必ず盛大也(こじんのこっくこうみょう、かならずせいだいなり)。しっかり坐れ!」と雲水を叱咤激励します。

このような人と人が織り成す相乗効果で、修行者全体の禅定力はいやがおうにも盛りあがり、坐禅中の堂内は静寂のうちにも張りつめた空気になってきます。


「人々皆道を得る事は衆縁による。人々自ら利なれども道を行ずる事は衆力を以てするが故に、今心を一つにして参究尋覓(さんきゅうじんみゃく)すべし」

(仏道を学ぶ人がみな道を得ることは同じく学び参究している人々の縁による。人は各々自らするどい心の働きが本来あるのであるが、仏の道を行うことは、同学同参のみんなの力によるのであるから、今、心を一つにして仏道を尋ね求めよ)と、
道元禅師が言われる通りです。


  • LINEで送る

同じカテゴリー(仏教・禅思想)の記事
禅と経営①
禅と経営①(2022-10-01 11:20)

ZEN and Management
ZEN and Management(2022-09-24 15:18)

人生の目的
人生の目的(2022-09-17 21:30)

寧静致遠
寧静致遠(2022-08-19 01:27)

12月4日の記事
12月4日の記事(2021-12-04 22:28)


 
この記事へのコメント
おはようございます。私が学びはじめたのは居士禅だということを最近知りましたが、寺での修行については外からではわかりません。本当に厳しいのですね。

初心者の私が自由にやらせてほしいなんて抵抗はまったくの無駄だと自分を笑ってしまいました。いっぱい話を聞かせてください。
Posted by めだか at 2012年01月16日 06:19
こっさん
はじめまして。よろしくお願いします。
天竜川の水面の写真を見た途端、涙がどっと出て来ました。
先日の夕方の写真も大好きでしたし、スカイツリーの写真もスカッとしていて何か良いなぁって思っていたのです。
また素敵な写真を見せてください。楽しみにしています。
Posted by 妙 at 2012年01月16日 06:44
たった今、冬の朝の凛とした空気を味わっていました。
清少納言の「冬は朝」とは、上手いこと言うなあ、なんて考えながら。
その後、こっさんの文を読み、「こんな清んだ空気なんだろうな」と想像しました。
気持ちがいいですよね。
気持ちがいいことは、いいことだ。
その「気持ちいい」が、波紋のように広がるといいな、などと思っております。
広がったら、世界平和になったりして。
内容とはまるで逆な、お気楽なコメントです。
Posted by 雅蔵 at 2012年01月17日 16:17
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
唯識⑨ー衆縁、衆力
    コメント(3)