有位の真人

カテゴリー │仏教・禅思想

有位の真人

「有位の真人」

早朝、起きぬけに近隣を30分ほど散歩しました。
農家の入り口にピンクの夾竹桃の花が見事に咲いていました。

夾竹桃には「私は夾竹桃…」という思いはないでしょう。
水・空気・太陽等の天地の恵みを受用し、無私・無心にただ精一杯に咲いています。

人間も、「私」という意識のとらわれがあると、その人なりの命の花を見事に咲かせることはできません。
過剰な自我意識は、その人自身を生きにくくさせますし、人を感動させるような美しさや自由な軽やかさがありません。
「無相の相を相として、歌うも舞うも法の声…」(坐禅和讃)というように、
何ごとも、やると決めたら、我をわすれて全身全霊で成りきってやることです。

夾竹桃が、天地一杯のエネルギーを受用し、夾竹桃という命のフォルム・相として現れているように、
人間にとっての命の花を咲かせるフォルム・相があります。

人は、それぞれに歴史的・社会的な生命として「いまここ」を生きています。
人間にとっての命のフォルム・相は、その人独自の社会的位であり、その位に求められている役割・責務です。
平凡な家庭の主婦であっても、立派な社会的な位であり役割・責務です。
健全な家庭は、国家社会の基盤なのですから。

臨済禅師は、いかなる位にもとらわれない天地一杯の自由無礙な命「無位の真人」を挙揚しましたが、「無位の真人」は対象化してとらえることはできません。
「無位の真人」は、社会的文脈において、その位に求められる役割や責務を全身全霊でやり遂げる「有位の真人」となって活き活きと働きでるものです。

昨日午後3時から放送された天皇陛下のお言葉は、
戦後70年間、象徴天皇としての位を、無私の精神で全身全霊をもって勤めてこられた「有位の真人」の素晴らしいお手本だと感動しました。





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