真のリーダー

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              【東海庵の坪庭】


私が6年間、禅の修行僧(雲水)・小僧として修行した本寺は、京都の妙心寺山内の東海庵です。

この東海庵には、「無」の体・相・用(働き)を表現するとされている三つの庭があります。

体の庭は、本堂前にゆったりと広がる白砂をしきつめたばかりで何もない清浄な庭です。
土塀ごしに見えるのは、法堂(はっとう)の大屋根と亭々とならぶ松ばかりでした。

凍てつくような真冬の満月の夜に徹宵坐禅をしていると、
白砂の表面に霜が降り、庭全体が月光をうけて青く陽炎のように光りながらゆれる幻想的な光景を目の当たりにしたことがあります。

白砂の庭は何もないだけに、土塀のむこうに広がる借景と呼応して、鏡のように四季折々の変化を映しだしてくれました。


相の庭は枯山水で、国の重要文化財になっている素晴らしい庭です。

用(働き)を表す庭が、書院と本堂の間にある七つの石が横一列に並べて置かれた写真の坪庭です。

この坪庭を見ていて、「なるほど!」と気づいたことがありました。

他の石がそれぞれに動勢ある傾きをもっているのに、
真ん中の石は実に素直で慎ましく自己主張をしておらず、それによって全体が引きしまり調和をもたらしていると感じたのです。

もし真ん中に他の石と同じような強い動勢・傾きをもった石を置いたら、
おそらく、この庭はまとまりがなく、見る人の心が落ちつかないだろうと思います。


「真のリーダー」の在りようを、石庭が無言のうちに教えてくれたように感じたのです。

健全で生産的な働きをしている組織には、
表面上の役職とは別に、このような目立たない「真のリーダー」がいるはずです。

今、リーダーの在り方が問われているようです。
しばらく「真のリーダー」をテーマにお話することにしましょう。






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この記事へのコメント
懐かしいお庭です。
Posted by akaru at 2016年06月16日 14:44
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