マインドフルネス

カテゴリー │仏教・禅思想

ここ数日、夕方だけ方広寺僧堂の大接心で坐禅しています。
今年百一歳になる管長兼老師もお元気で、雲水と一対一の参禅を今もしていただけることは誠にありがたいことです。

参禅をはじめてかれこれ45年、なんど師匠と相対してきたことでしょう。禅問答の公案を課題として公案に成りきって、見解(けんげ)を老師に全身全霊でぶつけるのが参禅であり、師匠と弟子との全人格的な関わりがその真骨頂です。この頃は老師が「何をしょうかね」と言われるので、私の方からお願いして「趙州録」をやっていますが、公案はともかく老師に接することがありがたいのです。

公案を透過して「なるほど!」と気づくことはありますが、結局は最初の「無字」の公案で無に成りきった時の境地に極まっています。

参禅のありがたさは、何よりも老師の全人格にふれその室内の光芒、波動に浴することだと実感しています。

ゆったりと静かに安らかにただあるがままに在る、その心の波動が本来の自分の波動として、やがて実感できてくることこそが法楽というものでしょう。

大井老師の道号は「際断」です。
思考の前後のストーリーを際断して「いまここ」に生きるという意味です。
老師は、その名の通り常に「いまここ」を生きておられます。
噂話、人の批評、説教、愚痴など一切なく、
「結構、結構」、「ありがたいねー」がくちぐせです。

「いまここ」を生きるには、
心がほっこりと落ちついて愛にあふれ「いまここ」に気づいていることが大切です。そしてその時思考は働いていません。
そのような在り方をベトナムの禅僧ティク・ナット・ハン師は、
「マインドフルネス」と言います。

人間の「生きる力」として大切なのは、なによりも「いまここ」のリアリティーに気づき生きるマインドフルネスです。
大井老師がそうであるように、「いまここを生きる」ことを伝えるためには、先ず自分自身がそのように生きることです。

禅リトリートでお世話になっている「ひとみちゃん」こと、磯崎ひとみさんの翻訳で、ティク・ナット・ハンの素晴らしい本が出ています。
日常生活で誰でもできる「いまここを生きる」を多くのヒントがあり、禅リトリートなどこれからの活動に活かしていきたいと思っています。



マインドフルネス


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