鏡のような心ー大円鏡智

カテゴリー │仏教・禅思想


唯識思想では、

自我意識から宇宙意識にシフトした「天地いっぱいの無(空)」の境地において、
物事を実体化する意識のとらわれがなくなり、
識が転化して智となるということです。


それじゃあ、どのような智に変わるかが「四智」の説明ですが、

仏教辞典その他の本を読んでも抽象的すぎて、
説明しょうとする私がもうひとつピンときません。

でも乗りかかった船で、私なりの理解ということでお伝えします。

それと大切なことは、
一切皆空(一切はみな空である)で、法(真理)もまた空ですから、
言葉で説かれた教義は「唯識」でもなんでも、
真理を体得するための仮の説明で地図のようなものだということです。
宝物(真理)のありかを示す地図をいくらながめていても宝物のありかには到達できません。
歩き出すこと、身をもって実践することです。


さて「大円鏡智(だいえんきょうち)」ですが、

アラヤ識は、自己と自己を取り巻く全存在の根底の心であり、
一切の現象を起こさせる可能性である種子を蔵するものとされています。
このアラヤ識が転化して「大円鏡智」となります。
さらに自我執着心のマナ識が転化して平等性智(びょうどうしょうち)に転化すると説かれています。

大円鏡智と平等性智は、
「あるがままをあるがままに鏡のように明らかに観じ」
「自他すべてを平等にひとつに観じる」智ということです。

禅で悟るとは、
禅マスター(老師)が「天地いっぱいの無(空)に成りきってこい!」と言うように、無の自己となることです。

唯識思想で悟るとは、
識が智に転化することです。

ですから大円鏡智と平等性智を禅的に説明すると、
「あるがままをあるがままに明らかに観じ」
「自他すべてを平等にひとつに観じる」
無の本体の智ということになります。

坐禅して思考を止め
禅定が深まると体感できます。

でも深層に、
怒りや優越感や劣等感の感情をともなった
対立意識や差別意識や自我意識があると、
「あるがままに、平等にひとつに」観じることができません。

心の土壌の識の汚れを浄化して、
智の豊かな明らかな土壌に転化する行の実践が大事だということです。


でも私たち日本人は幸せですね、

どこかの国のように、
言論の自由もなく国家権力で洗脳されることもなく、
自分で自分を大切にし心を養うことが出来るのですから。



※参考までに、
『岩波仏教辞典』には四智を次のように解説してあります。
大円鏡智(だいえんきょうち):大きな円い鏡に一切がありのままに映し出されるように、すべてを明らかにする曇り一つない清浄な仏智。
平等性智(びょうどうしょうち):自他すべてのもが平等であることを証する智。
妙観察智(みょうかんさっち):平等の中に各々の徳性があることを証する智。
成所作智(じょうしょさち):あらゆるものをその完成に導く智。


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この記事へのコメント
こっさん和尚さま!

以前、座禅や瞑想に興味があります、とコメントした者です。

小生は、心に『優越感』『劣等感』『差別心』『恐れ』などなど、あったりします。
そういう事を『思考』している時は、自分ってイヤだな~~と思います。
なので、以前は紙に『私の中にある、優越感や劣等感、差別心を手放します』と書いていましたが・・・・(アファメーションですね)
やっぱり、あります。
もちろん、それは人間の、ある意味『自然な感情』のひとつだと思うんですけど・・・

でも、ない方が、心が楽になるような気がしますが・・・

どうやったら、なくなるんでしょう・・・
Posted by アイシスちゃまのママ at 2012年04月11日 21:11
目の前のことを一生懸命やる…
自分の命はただただ生かされている。何かの役に立つため、誰かの役に立つため…
物言わぬものも、物言うものも自分の前にあるとき、観じる心で精一杯想いを受け取り自ら関われば、智恵を頂き道が開けるのかもしれない。その道は、きっと空に続いている。喜びや悲しみ苦しみも同じ光となる。
心は、限りない宇宙のようであります。
Posted by るみりん at 2012年04月12日 00:57
いつもありがとうございます

本当ですね
私たち日本人は、とても幸せですね
地球に住むみなさんが、自分らしく幸せであれたら…と、心から思います

優越感、劣等感、差別、怒り…
なくして、心穏やかにいられたら…と思います

心を浄化せねばと思います
Posted by あいちゃん at 2012年04月12日 02:43
こうちゃん。おはようございます。

地図のお話。実践あるのみ。行動あるのみ。ですね。

今日も一日楽しみです。
Posted by としちゃん at 2012年04月12日 08:43
おはようございます。原点に引き戻していただきました。ありがとうございます。
Posted by めだか at 2012年04月13日 06:40
「自他すべてを平等にひとつに観じる」
みんな同じでは無くそれぞれ個性が有るのだから、それらを含めて全て平等にと自分では出来ているつもりで居ました。
3月12日に、私の最愛の犬が死にました。4歳です
神様、仏様はなんとむごい事をするものなのかと怨む相手も無く怨みました。が・・・・
自分を冷静に見つめてみると、自分の気に入らない事や自分の思っていることと違う事をする相手を私は見下していたような傲慢なところが有る様に思いました。それが私から愛犬を取り上げられたことに気が付き、今は出来るだけ大きな声おを出して感情をあらわにしないように・・・汚い言葉を発しないように日ごろの生活に気をつけているところです。
一切皆空・・・般若心経でしたでしょうか。空は宇宙なんでしょうか、とにかく大きなもののように感じます。

ありがとうございました                           合掌
Posted by 幻想堂幻想堂 at 2012年04月14日 18:38
こっさん。どこかの国、つーのは優越感とちゃうんかい?抑圧されたなかではぐくむ真実つーのもありなんじゃね?
Posted by kenchan at 2012年05月10日 01:25
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