ジョブズと禅

   “こっさん”です

2011年12月15日 21:29

米アップル社の創業者の一人スティーブ・ジョブズが亡くなった後で、彼が禅をやっていたと知人から聞きました。

それで、ジョブズについて急に知りたくなり、ネットで調べたり伝記を読んだりしています。

ネットでは、You Tubeでスタンフォード大学卒業式での名スピーチが字幕付きで聞くことができます。素晴らしい内容ですので是非アクセスしてみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=_jLrLluunHg

伝記を読むと、19歳頃から禅を学びはじめ、天井裏に瞑想室を作り朝晩に坐禅をし、鈴木俊隆老師や弘文老師に参禅し17年後には弘文老師を導師に仏式で結婚式をし、一時は永平寺にまで行って修行しょうと思ったこともあるようです。

ジョブズが影響を受けた数冊の本の中に、
「禅へのいざない」鈴木俊隆老師、「あるヨギの自叙伝」、「ビー・ヒア・ナウ」と共に、私が阿部さんから薦められ読んで感動したチョギャム・トゥルンパの「タントラへの道―精神の物質主義を断ち切って」があったのには驚きました。


前回、合理的思考による知的探求と、直観で生きる実践的探求の話をしましたが、ジョブズのインドへの旅の体験談にそのことが語られていますので、長くなりますが紹介しましょう。


僕にとっては、インドへ行ったときより米国に戻ったときのほうが文化的ショックが大きかった。インドの田舎にいる人々は僕らのように知力で生きているのではなく、直感で生きている。そして彼らの直感は、ダントツで世界一というほどに発達している。直感はとてもパワフルなんだ。僕は、知力よりもパワフルだと思う。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた。

西洋の合理的思考は人間が生まれながらに持っているものじゃない。習得するものであり、西洋文明の大きな成果でもある。インドの村では合理的思考は学ばないんだ。彼らは別のものを学ぶ。合理的思考と、ある意味、同じくらい重要な面も持ち、それほどでもない面も持つものだ。それが直感の力、体験にもとづく智慧の力だ。

インドの田舎で7ヶ月を過ごしたおかげで、僕は、西洋世界と合理思考の親和性も、そして西洋世界のおかしなところも見えるようになった。じっと座って観察すると、自分の心に落ちつきがないことがよくわかる。静めようとするともっと落ちつかなくなるんだけど、じっくりと時間をかければ落ちつかせ、とらえにくいものの声が聞けるようになる。このとき、直感が花ひらく。物事がクリアに見え、現状が把握できるんだ。ゆったりした心で、いまこの瞬間が隅々まで知覚できるようになる。いままで見えなかったものがたくさん見えるようになる。これが修養であり、そのためには修行が必要だ。

あのときから、僕は禅に大きな影響を受けるようになった。…